EnsekiTT Blog

EnsekiTTが書くブログです。

NECを退職した話

転職活動中にブログでやらかすのもアレなので更新を止めていました。*1

つまりなにしたの?

新卒から5年間働いたNECを退職しました。いわゆる退職エントリです。
退職エントリが嫌いな方、昨年流行った過激なエントリを期待している方には不向きな記事なのでここから離脱してください。
上司や一緒に働いた皆さんはお世辞抜きにすごい人たちでした。

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なんで入ったの?

ソフトもハード(電気・電子)も経験のある人になりたかったのと、日常生活や個人では関わることすらないようなものを作れるの面白そうって思ったからです。

どんな仕事してたの?

私は新卒でハードウェアの設計開発職に就きました。もともと情報科学の専攻だったのですが、ハード(センサとかモータとかFPGAとか)もやらせてくださいなんでもしますからって言ったらやらせてくれました。

もうこの時点でNECの(私の上司たちの)懐の広さがおわかりかと思います。
情報系でアーロンチェアにふんぞり返ってMacBookProをぽちぽちしてたやつに、僕の生涯賃金より恐らくお高いものをすごい精度で動かさなきゃいけないモーターの制御設計をやらせるんだから、新卒並みに大企業ってすごいなあと思った記憶があります。

その後も基本的にはハードウェアが得意な人が多い部門で何故かソフトとか制御をやらせると楽しそうにしてる人ポジションを獲得し、今から考えるとSFみたいな装置を開発してました。
そんなこんなで緩い論文や特許を書いたり、様々な研修に送り込んでもらえたりと、なかなかに恵まれつつもかなり忙しい日々を送っていました。

ここまでが最初の3年間の話。ここからが最後の2年間の話。

あとの2年はソフトウェアエンジニアとして、「ドローンとかデータ分析とかで地方自治体の課題をどうにかする」みたいなお仕事を営業系の部門と技術系の部門が融合した「横串組織」でやっていました。
実証実験に行ったり、コンセプト検証のためにデータを分析・可視化したり、実機を持ち込んでデモをするような環境で日々新しい課題に取り組んでいました。
上司・先輩の尽力もあり、かなりいろんな設備を使える状態にしてもらえて、社内のエンジニアの中では比較的*2働きやすい環境だった気がします。

5年間を通して振り返ってみます。

大きい企業だと上司やチームは自分では選べないしガチャ要素が強いとよく言われますが、
この5年間を通して上司と先輩のガチャでほぼSSRを引き続ける(?)ことが出来ました。

十分な恩返しが出来なかったことは今も心残りですが、会社が違っても僕に後輩や部下ができたときにSSRえんせきでいられるように頑張ろうと思います。

なんでやめたの?

辞めた理由は大きく3つ

エンジニアの待遇

待遇を辞めた理由として書きましたが、自分の直近で所属していた部門は残業時間も月20時間行くか行かないかのホワイトで、諸々込みの給与も世間一般の29歳にしてはもらっている方だと思います。
幸いにもそこそこ評価していただいていたことと、まだ20代ということで出世が閉ざされている感じもないので贅沢といえば贅沢なことを言います。
ここで言う待遇は、賃金ももちろんありますが、就労環境や一緒に働く多くのエンジニアのスキルセットも含んでいます。

今後、何かの手違いで私が最高の評価を得続けても、革命的な何かを起こさない限りは、希望のあるエンジニアとしての働き方・待遇にはならないみたいです。
なんとか夜の時間に自主的に勉強をしたとしても、昼の最も活動できる時間は次第に技術から離れていき、社内調整やベンダー管理等を続けて、35歳、そして45歳をこの会社で迎えるのはハードも少しわかるソフトウェアエンジニアとしてキャリアを積みたい自分にとっては素直に怖かったです。
www.itmedia.co.jp
ちなみに、SIerプロマネとして大規模なシステムの要件を検討して、大人数をまとめ上げ、お客様に価値を提供するお仕事をしたい人にはとても向いている会社だと思います。
国の大きなプロジェクトとか、超大手企業の基幹システムにも関われます。もちろんもっと業績のいいSIerもありますが、各社それぞれ社風もあるので興味があったら調べてみるといいと思います。
私から見たNECの特徴は人が温厚で良くも悪くも最後までやり抜くところっぽいです。

社内の構造

35歳は社内イベントとかで若手として扱われるみたいです。
平均年齢が40歳を超えているんだから35歳が若い側になるのはお気持ち的には当たり前といえば当たり前ですが、組織として10年近く職歴のある人を若手扱いしている会社ってやばくないか…?と思ったのが発端です。
間もなく30歳になるわけですが、そこからの5年間を後輩も殆ど入ってこない中で働き続けたら、良くも悪くもNECにオーバーフィットした後輩育成経験の乏しい35歳えんせきが爆誕する危機感がありました。

若手が少ないからと言って採用を増やそうにもSIerとして売上に対する人数で言えばすでにかなり多い状態です。45歳以上の人を減らしたくなる気持ちもわかりますし、本当は年齢ではない軸で減らしたくなる気持ちすらあるんじゃないかと思います。自分が終身雇用だと思って45歳を迎えて対象になったらたまったものではありませんが、経営としては正しいのではないかと思えてしまい労働者としてはしんどいです。
こんな状況もあって社外からの人気はやはりというべきか落ちているようで、グループ会社のほうが新卒の人気ランキングだと上位にいることすらあるようです。世知辛いですね。

今後、新しい優秀な人を雇うための施策はいくつか打っていくみたいですが、施策が反映される速度は自分のキャリアとは関係ないですし、成果が出るのが1年後なのか10年後なのかはわかりません。
私はタイミングが悪く、出ていくことになってしまったのですが、この施策が成功することを願っています。
www.nikkei.com
これとか、朝が弱い私からしたらもっと早くやってくれーとか思いました。今更ですけどね。

今の自分により合ってそうな会社

批判のような愚痴のような事も書きましたが、基本はこれです。

NECのために頑張っている人もいっぱい知っていますし、日本社会的にも潰れたら潰れたでちょっとややこしい会社です。
NECで定年まで仕事ができて、歳とともに定期昇給があって、そこそこの退職金があるなら、それはそれでよいことだと思います。
そんな「よいこと」を放棄し、1日も働いたことのない会社に転職するのは当然リスキーだし他人に軽はずみに勧められるものではありません。

どんな会社にも、自分と合っているところ、合っていないところはあると思います。
次の会社はオファーをいただけた中で最高の会社だと思っていますが、どこかしら合わないなってところは今後見えてくると思っています。

そんな諸々のリスクを考えても、オファーをいただけた次の会社で頑張った方が、自分が自分の人生に納得できると思ったから転職しました。

これからはなにするの?

Webサービスの会社*3でデータをサイエンスする感じのお仕事をします。
手段はデータサイエンスですが、ユーザにとってサービスを使いやすくするのが僕のお仕事です。
引き続き所属会社とは別の軸で技術的なアウトプットは続けていく予定なのでよろしくお願いします。

*1:ということにしておく

*2:比較対象の事務用PCはkumagi.hatenablog.comの一般の方レベル

*3:GAFAではありません

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